人工透析について

腎臓病を患い、治療のために透析が必要になる場合があります。
近年、透析医療は目覚ましい進歩を遂げています。透析をしながらでも、仕事をしたり元気に過ごしたりすることができます。

腎臓と人工透析

腎臓の機能には、体の中の余分な水分や血液に含まれる老廃物をろ過して尿を作り出すという重要な役割があります。
そのほか、血液中の成分を調整したり、血圧や貧血などをコントロールして身体のバランスを保つ役割も担っています。
この腎臓の機能が著しく低下してしまったときに、体内の老廃物などの毒素を人工的に排泄させて、生命活動を維持する、そのための対処法のひとつが人工透析です。

透析が必要になる場合は?

腎臓は再生能力が低い臓器です。腎臓の機能が低下してくると、体の中に老廃物がたまり「尿毒症」といわれる症状が現れます。
吐き気・嘔吐・食欲低下・倦怠感・記憶力の低下などの症状が現れ、時には意識障害が起き昏睡状態となることもあります。
また、むくみ・呼吸苦・貧血・高血圧・不整脈など、全身にさまざまな症状が出現することもあります。
薬物や食事療法などの治療を行っても腎機能の低下が止まらず、日常生活をおくるのが困難になってしまうようであれば、人工透析を考える必要があります。

人工透析の仕組み

機能が低下してしまった腎臓に代わって、人工的に、体の中の余分な水分や血液中の老廃物をろ過して血液を浄化する治療法が「人工透析」です。
透析療法には「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。どちらを行うかは、腎臓の状態やライフスタイルなどを考慮して決定します。

血液透析

体内から取り出した血液を、血液透析器(ダイアライザー)に通して、老廃物や余分な水分を取り除くことで浄化し、その血液を体内に戻す方法です。
大量の血液を体外に取り出す必要があるので、ほとんどの場合、腕の静脈と動脈をつなぎ合わせる手術が必要です。
週に3回程度クリニック内で行います。1回につき3~5時間程度を要します。

腹膜透析

お腹の中に透析液を入れ、体内で血液を浄化する方法です。
透析液を出し入れするためのカテーテルと呼ばれる直径6mmほどの柔らかいチューブを腹部に埋め込む手術が必要です。
そのチューブから透析液の注入、排出を行います。20~30分の透析液交換を1日4回行います。あるいは、夜間寝ているときに機械を使って交換する方法もあります。

まとめ

血液透析と腹膜透析、それぞれに利点があります。
患者さん一人ひとりの腎臓の状態とライフスタイルを考慮して、適切な方法を選択していきます。
透析治療を受けていても、日ごろの自己管理も心がけ、元気な日々を過ごしましょう。